新しい観光を創造する
成長産業として観光の認識が高まるなか、観光系学部・学科を設ける大学が増えてきた。専門知識や能力を修得した人材が数多く輩出されるのは観光関連の企業にとって望ましい。だが、企業と大学とが意見を交わす場では時に、企業が求める人材像には物足りない、企画立案能力やマネジメント能力などが身についていないと指摘される。
跡見学園女子大学の「観光コミュニティ学部 観光デザイン学科」は、このような観光関連企業の人材ニーズに応えるべく、観光を活用した企画立案能力やマネジメント能力、マーケティングの知識などを身につけ、新しい観光を創造(デザイン)する能力を修得する学科だ。
教育の目玉は、2年次の夏季休業に2週間程度、学生全員が参加する学外実習(インターンシップ)。福島県会津若松市、道の駅「もてぎ」、近畿日本ツーリストなど、観光に関わる自治体や企業などで実施する。
産学連携による学生の活動として昨年は、東武鉄道などと共同で、越生線沿線への誘客と埼玉県越生町の活性化を目的とする観光パンフレットを製作。地方創生イベント「全国ふるさと甲子園」には、ボランティアとして運営に参加し、来場者が実際に出展地域に足を運びたくなるよう各地域の魅力を伝えた。
このような学外の実践的な学びを通じて学生の意欲を高め、3、4年次に専門知識を学ばせる。実践と理論を統合した教育によって、観光デザイン能力を身につける。
観光コミュニティ学部には、観光デザイン学科のほかに、15年から「コミュニティデザイン学科」も設置した。人と人とのつながりの重要性が改めて見直されるなか、コミュニティデザイン学科は、「人がつながる仕組み」を作る人材を育成。人々が心地よく暮らすため、斬新なアイデアで各地域の問題を解決する能力を養っている。